高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”

・・・・・ まずは“宅建資格”から

借地借家法−10条をみてみよう・さらに続き・・・。

実は、更に続きがあります。

しかし、条文はほとんどありません。それでも、紛争は生じますから、訴えがあり、裁判所はルールを提示して、結論を出さないといけません。

裁判拒否は出来ないからです。つらいところです。

その判例を見てみましょう。

実は、Aが土地をBに貸していましたが、建物を所有している状況で、土地をCに売りました。

この事例で、CがBを追い出せない場合に、その後どうなるか、ですね。

まず、CはAに文句を言いたいはずです。「なんだよ、これつかえないじゃないか」と。

そこで、解除をできればしたいし、損害賠償もできればしたいです。

その根拠となる条文はあります。

・・・・・・・・・

(地上権等がある場合等における売主の担保責任)

第五百六十六条  売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。

3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

・・・・・・・・・

2項は、賃借権の登記がないとダメとなっていますが、それを借地借家法で、補充しています。

・・・・・・・・・
10条
3項  民法第五百六十六条第一項及び第三項 の規定は、前二項の規定により第三者に対抗することができる借地権の目的である土地が売買の目的物である場合に準用する。

・・・・・・・・・

ですから、今回も566条で考えればいいのですが、解除も、損害賠償の請求も、買主がつまりCが善意であることが前提です。

しかし、不動産取引は、現地調査が普通ですから、実際に見に行けばBが使っていることは容易にわかり、あとで善意で買ったという主張はなかなか認められません。

宅建業者が媒介とかしていれば、なおさら宅建業法35条での説明を受けるくらいですからね。悪意となってしまいます。

そうすると、悪意であるCは、買った以上もうこの土地を所有するしかないでしょう。

そこで、今度はBとの関係はどうなるかとなりますね。

前提は、Bを追い出せない、しかもBはそのまま正当に使用できる、この状況でどうするかです。

この点、条文はありません。いろいろ知恵を出します。

そうすると、Cは、Bに賃料を請求することをきっと考えるでしょう。

でも困ったことに、そのためにはCB間で賃貸借契約がないと請求できません。その契約をすればいいじゃないか、と簡単に思われるかもしれませんが、Bが常に応じるとも思えませんね。

仮に、Cが法律を知らない人なら、一度Bに高圧的な態度で出て行けと言っているかもしれません。そうなら、なおさらBはウンとはいわないですね。

しかし、それでもうまく解決するには、Aにこれまで通り賃料を得させるのもどうですか、あまりいい解決策とはいえませんね。ですから、AB間の賃貸借がCB間に引き継がれるのが一番いいのです。

それですべて丸く収まるように思います。Aの賃貸人の地位がCに当然に引き継がれるとしています。当然というところがミソです。それは、契約に任せると先ほどのようにうまくいかないこともあるからです。

判例は、もうひとつ考えています。実際にCが賃料を請求するためには、さらに土地の所有権移転登記をしていないとダメだよ、としています。

これは、Bの保護を考えてのものです。

本当に土地をCが買っているか、Bは分からないからです。Bは登記がある方に支払えば、二重弁済の危険を回避できますね。

よくここまで考えたものだ、と思いませんか。

このように、試験でも出題されます。

ついでに、BがAに入れていた敷金も、AB間(もう関係は終了するから)で一度精算されたものが、残額があれば当然にCに引き継がれると判例はいっています。

ですから、Cの立場からすると、土地を買うときには敷金もきちんと調べないと、あとで余分な出費となりかねませんから、注意しないといけません。

ふー、ということで、一件落着です。

今回も、お疲れ様でした。

では、また。

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