高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”

・・・・・ まずは“宅建資格”から

借地借家法−10条をみてみよう・続き・・・。

10条の2回目の講義です。

まず1項から見てみましょう。

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第十条  借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

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この「その登記」とは、民法の賃借権なら、605条、地上権なら177条の登記のことです。

しかし、地上権はほとんど地主は設定に応じないし、土地の賃借権では、登記の義務が地主にないので、強制的に登記をすることができません。

結局、地主が借地権者を追い出そうとしたいときには、土地をまず売って、買った人に追い出してもらって、またその人から高く買い戻せばいいことになってしまいます。

それはまずいということで、どうなっているかというと、建物は借地権者のものですから、一人でその保存登記はできます。それで、土地を買った人にも勝てるとしたのです。

それで、土地を買う人はどうかというと、買う前に現地に行けば建物が建っていて、その所有者を調べれば、土地の所有者と違えばなんらかの利用権があることに気づくので、買うならそれを覚悟でかうことから、あとは何があっても安心、安心・・となるのです。

ちなみに、判例によれば、この登記は借地権者の名義であることを当然要求しています。まあ、当然ですね。ただし、権利の登記がなくても、表示の登記があれば、建物の所有者の名前もわかって、最低限の情報がそこから得られるので、それでもいいといっています。

これで対抗力として完璧か、というとそうでもありません。

こういう場合はどうですか。この1項の規定は、きちんと登記されていること、しかも建物を現に所有している状況が必要ですね。

そこで、この土地をどうしてもほしい悪質な地上げ屋(地上げ屋はすべて悪質か?)はどうするかというと、夜中にダンプカーで建物を全壊させるか、放火して燃やしてしまうかなどするはずです。もちろん、見つかればお縄です。犯罪ですから。

でも、手下がやれば、親分は知らないとしてどうどうこの土地を地主から高く買って、借地権者を追い出すことができるのでしょう。だって、もう建物が現にないからです。

10条1項の主張をするには、建物の所有が必要といっているからです。悪い人は良く考えます。感心していてはだめですが・・・。

そこで、このような場合でも保護する必要があるために、考えた方法が2項なのです。

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2  前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

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要は、土地の上に、今建築中だから、掲示板をたてればいいということです。

これ簡単でいいと思う人は、実際にやってみると、簡単にできる分、結構問題もありますね。

夜中に引っこ抜かれてしまうと、元も子もないですから・・・。

でも、この方法があることで、少しは安心できます。

掲示板をたてて、四六時中きちんと見張って、2年の間に、きちんと建物を立てて、しかも登記をすれば、悪質な地上げ屋に勝てる方法(武器)を与えられたからです。

バブルの時に、悪質な地上げ屋がいろいろなことをしましたが、なんとか借り手を保護するように規定しているんですね。

10条の1項、2項をもうこれで理解しましたね。そして、覚えましたね。 

今回も、お疲れ様でした。

では、また。

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