高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”

・・・・・ まずは“宅建資格”から

借地借家法−5条から6条をみてみよう・・・。

今回は、もう5条、6条です。借地借家法は、40条ぐらいしかありませんから、このブログでものにしましょう。

少しずつやるのがいいですね。法的なセンスも、あわせて身に付くようにしてもらいたいです。

この5条1項と2項、さらに6条があるために、借地では更新が原則となっています。

一方、民法では、期間が定められている時には、期間が来たら、その意思を尊重して、まずは終了してもらい、もっと借りたいなら、合意更新か、合意がないとして黙示の更新が、少しあるだけです。

意思の尊重というキーワードうまく使えていますか。

それから見ておきましょう。この条文は、賃貸借の中でもっとも難しいものですが、理解できれば全部わかったことになりますからね。絶対に、ものにしないと、合格がみえてきません。

・・・・・・・・・・
(賃貸借の更新の推定等)

第六百十九条  賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百十七条の規定により解約の申入れをすることができる。

2  従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、敷金については、この限りでない。

・・・・・・・・・

難しいでしょ。でも、これさえ理解できれば、これより難しい条文は賃貸借はないのです。

では、人に説明できることを目標にしましょう。

期間が満了しました。しかし、どちらからも、出て行け、出ていくといいません。むしろ、賃借人はそのまま使用してます(使用を継続)。賃貸人は文句を言いません(知りながら異議なし)。なら、更新したと扱ってもいいではないか、となっています。合意がないので、黙示の更新といいます(もう少し良いネーミングがいいのですが、なんとなくわかりますね)。

ただし、強制(みなす)まではしていません、推定するとしているだけです。更新しない証拠をだせば終了します。

でも、合意しているわけではないので、今後賃料はいくら払えばいいのか、いつまで借りられるのか、ルールを規定しておかないと困りますね。

そこで、この条文は、基本は従来通りとなっていますね。「従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたもの」とあるからです。

しかし、しかしですよ、賃貸借の中で最も関心が高い、「存続期間」も従前と同じでいいのか、と思ったでしょう。

そう思われた方は、すばらしい。授業では、大いにほめます。

やはり、「存続期間」は特別なのです。

それは、どこに書いてあるのか、「各当事者は、第六百十七条の規定により解約の申入れをすることができる」に書いてアリます。

この条文を見てみないと・・・いけないことになります。

・・・・・・・・・・

(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)

第六百十七条  当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一  土地の賃貸借 一年

二  建物の賃貸借 三箇月

三  動産及び貸席の賃貸借 一日

・・・・・・・・・・

つまり、黙示の更新があると、そこから「期限の定めのない賃貸借になる」ということですね。

それは、従前つまりこれまでは存続期間が15年だったとしても、15年とならない、それはそうだろう、合意してないのに更新したからです。

ふー、まだ民法の説明ですが、これがしっかり分かっていないと5,6条も正確にわかりませんからね。

あと、618条2項では、担保は引き継がれませんが、そのなかの敷金は引き継いでもいいでしょ。そうなっています。

では、5条、6条はどうなっているか、借り手を保護するために、満了時に建物がまだ使えるのなら、土地を使わせてやれとなっています。

つまり、満了しても原則更新を強制され、例外として終了するとなっています。ですから、それを味わってください。

・・・・・・・・・・

(借地契約の更新請求等)

第五条  借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。

2  借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。

3  転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。



(借地契約の更新拒絶の要件)

第六条  前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。

・・・・・・・・・・

ちょっと、長かったですか。自信がでてくると、これも苦にならずに読めるはずです。

5条1項は「請求更新」、2項は民法の617条によく似た「使用継続更新」です。

いずれも「建物が存在」していますね。まだ土地を使いたいはずです。

請求更新すると、つまり借地権者が一方的にできるものですが、これにより、更新できると、それはこれまでの期間とはならず、期間は定めがないものとなって、4条で覚えた、1回目の更新なら20年か、2回目以降なら10年となりますね。期間は、従前と同じでなく「前条の規定によるもののほか」となっているからです。

前の知識を思い出せることも、実力です。

この請求をしなくても、またこれを知らずにできなくても2項があって、「使用し続けると更新」されます。3項のように適法な転借地権者でもかまいません。

これが原則です。しかし、例外的に終了する場合があります。

いずれも、合意していない場合ですから、まず「借地権設定者が遅滞なく異議を述べたとき」です。

民法では、「遅滞なく」という文言はありませんでしたね。ここでは、遅滞なくするのも、結構難しいのですよ。30年以上まえのことですから、成立したのが・・・。そう、忘れちゃうでしょう。30年前のことは。または、親父の代だったかも知れませんね。

しかし、それでもこれだけでは終了しません。まだ簡単ですから、終了するにはさらに6条の正当事由が必要なんです。

これ文章が長いのですが、よく読むと、両当事者の利益を考慮して、その際には立ち退き料もいれて考えて、地主の方が必要性が高いというのなら、正当事由があり、借地権者の方が必要性があるというなら、正当事由はない、となるわけです。

この正当事由を厳しくすれば、ほとんど遅滞なく異議を述べても、認められないわけです。たくさん土地を持っている地主さんなんかは、なかなか必要性をみとめるのは難しいでしょうね。

で、借地権者は、とことん保護されていくのです。

万が一、正当事由があった場合には、どうなるか、これは次回にしましょう。ながくなりましたから。

今回は、お疲れ様でした。

では、また。

2016年版うかるぞ宅建士 直前予想問(模試4回分) (うかるぞ宅建士シリーズ)
高橋克典
週刊住宅新聞社


試験にうかる!!法律のカンタン思考術―宅建受験生必携
高橋 克典
住宅新報社

にほんブログ村 資格ブログ 行政書士試験へにほんブログ村

にほんブログ村 資格ブログ 宅建試験へにほんブログ村

にほんブログ村 資格ブログへにほんブログ村

資格(行政書士) ブログランキングへ

資格(宅地建物取引主任者) ブログランキングへ

PVアクセスランキング にほんブログ村